− 神々の宴 −

宇摩志阿斬訶備比古遅神

(うましあしかびひこぢのかみ)

『古事記』には宇摩志阿斬訶備比古遅神、『日本書紀』には可美葦牙彦舅尊(うましあしかびひこぢのみこと)と記されている。

天之御中主神高御産巣日神神産巣日神天之常立神と共に「別天津神(ことあまつかみ)」に数えられているが、『日本書紀』では本文にその名は無く、第二、第三、第六の一書(あるふみ)にしか登場しない。

ウマシは広義の意味で美しさ、善いものを表現する言葉で、アシカビは葦の芽、ヒコは男の名で彦と同義語、ヂは父や舅(ヂヂ)などのヂ接尾語であるから、立派な葦の芽のような男神という意味である。

性を持たない単独神とされているが、比古遅(彦舅)とあるのは、葦の芽の形状とその勢いから陽神ととらえられたからであろう。古来より葦は邪気を払う植物と考えられており、葦が生い茂る土壌には稲が育成するといわれ、日本のことを「豊葦原(とよあしはら)の瑞穂国」と称えるように、古代人にとって葦の芽は生命力の象徴だったのであろう。

また、『先代旧事本紀』では可美葦牙彦舅尊は、天御中主尊(天之常立神)とともに一代倶生天神(いちだいぐしょうてんじん)と位置づけられている。

宇摩志阿斬訶備比古遅神を祀る主な神社
出雲大社(島根県大社町)
浮島神社(愛媛県重信町)